痔の種類
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いぼ痔 内痔核
排便時の出血はありますが、痛みは少ないです。放置すると重症化します。
痔の中でもっとも多いのが内痔核です。
肛門の内側(歯状線より上の痛みを感じない部分)でうっ血して膨らみます。
症状が進むと、炎症による痛みや痔核の脱肛をともないます。 -
いぼ痔 外痔核
出血はほとんどありませんが、突然の強い痛みをともないます。
肛門の外側(歯状線より外側)に突然発症します。
肛門のまわりに固いしこりができて痛みを生じるので、椅子に座るのも大変です。 -
きれ痔 裂肛
排便時に激しい痛みがありますが、出血は紙につく程度です。
便秘による太くてかたい便をムリに出すことによって、肛門の出口付近が切れて、痛みをともないます。
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あな痔 痔瘻
肛門周辺の腫れ・激しい痛み・かゆみ・発熱でつらいです。
肛門周囲の肛門腺に細菌が感染し膿がたまる肛門周囲膿瘍をへて、肛門に膿のトンネルができる病気です。医師による治療が必要です。
痔核(いぼ痔)の進行
Ⅰ度内痔核

治療の必要なし!
脱肛や出血などがない状態であれば特に治療の必要はありません。心配な方は、生活習慣に気を付けていれば大丈夫!

Ⅱ度内痔核
Ⅲ度内痔核

Ⅲ度内痔核の脱出が続くと、筋肉が痛みと緊張で力み始め、
強い腫れと痛みを伴います!こうなる前に治療しましょう。
Ⅳ度内痔核

脱出が継続すると、括約筋が弱って締まりの悪い状態になります。一度弱った括約筋は改善が難しいため、できるだけ早い手術をおすすめします。
血栓性外痔核
急に肛門の外側にできて、腫れ・痛みなどの原因となるのが(血栓性)外痔核です。ほとんどの血栓性外痔核は、お薬などの保存的加療で治ります。
外痔核の場合、生活習慣の改善とお薬だけで治療が可能です。但し、患部が比較的大きい場合は、完治まで時間がかかることがございます。痛みがひどく、すぐにでも取り除きたいという方に対しては、痔核根治手術で治療を行います。診察の際に詳しく説明しますので、一緒に治療法を決めていきましょう。
排便時の脱肛や出血などでお悩みの方は、できるだけ早く専門医の診察を受けてください。ほとんどの痔核(いぼ痔)には手術の適応はありませんよ。出血のある方は、大腸内視鏡検査も受けてくださいね。
大腸内視鏡について詳しくはこちら!

保存的加療
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内服薬
出血・痛み・腫れなどの症状を抑えるお薬と、便をやわらかくするお薬などがあります。
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外用薬
軟膏や坐薬で出血・痛み・腫れなどの症状を抑えます。また、便をスムーズに送り出す潤滑薬にもなります。
生活習慣の改善

- 便秘・下痢をしないように気を付ける
- 水分や食物繊維をしっかりとる
- 長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしをやめる
- ストレスをためこまない
- トイレでは強くいきまない、排便は5分以内に
- 辛いもの・アルコールなどの刺激物は控える
- 手軽にできる運動を毎日行う
- 身体を冷やさない、毎日おふろに入る
注射療法
四段階注射法

- 痔核上極部粘膜下層
- 痔核中央部粘膜下層
- 痔核中央部粘膜固有層
- 痔核下極部粘膜下層
と、痔核を4つのエリアに分けて注射します。
出血や脱肛を改善させる、硫酸アルミニウムカリウム水和物と、その作用を調整するタンニン酸を痔核に注射します。

痔核の縮小と出血改善

硫酸アルミニウムカリウム水和物の作用
- 血管透過性の亢進
- 血液の濃縮
- 血流の減少・停止
- 迅速な出血症状の改善
注射直後から痔核は縮小し、出血も改善します。

痔核の硬化・退縮

硫酸アルミニウムカリウム水和物の作用
- 炎症の惹起
- 炎症の修復(肉芽形成・繊維化)
- 痔核の硬化・退縮
- 脱肛・出血症状の消失
タンニン酸の作用
- 過度の急性炎症の抑制
- 組織障害の軽減
出血する内痔核にはPAO(フェノールアーモンドオイル)を用いた簡便な注射療法もありますが、
脱出する痔核には効果がありません。
投与中に気分不良(血圧低下、嘔気など)、2週間後までに一過性の発熱、
1~2か月後に出血・排便困難などの症状が見られることもあります。
注射後1~2か月で痔核は硬化・退縮します。
(組織レベルの変化は半年ほど続きます)

痔核根治手術
痔核組織の結紮

- つまむ
- ひっぱる
- 通す
- しばる
で、痔核を脱出させ結紮します。
※大きな痔核は、二重に結紮し、切除します。
局所麻酔薬を注射し痔核を脱出させ、内痔核の少し内側から外痔核の少し外側までの痔核組織を結紮します。

痔核組織の壊死

- 結紮による血流の減少・停止
- 痔核組織の壊死融解・脱落
術後の痛みを和らげるために、痛み止め(内服・軟膏など)を使用します。血流の多い痔核は術後数日間ですが腫れて痛むことがあります。腫れによる痛みは入浴(半身浴・座浴)で和らげることができます。
術後10日間前後で痔核組織は壊死融解・壊死脱落します。

創傷の治癒

良好な創傷治癒には、水分とバランスのいい食物繊維の摂取による、お尻にやさしいお通じが大切です。便秘は腫れによる痛みや排便時の痛みの原因になります。また、下痢も排便時の痛みの原因になります。緩下剤(便をやわらかくするお薬)や整腸剤(腸内環境を整えるお薬)を使用することもあります。
術後1~2か月間で創傷は治癒します。
術後の障害が少ないこと、術後の瘢痕が柔らかいことが特徴です。

裂肛根治手術
裂肛組織の結紮

- つまむ
- ひっぱる
- 通す
- しばる
で、肛門ポリープと見張り疣を脱出させ
裂肛組織を結紮します。
局所麻酔薬を注射し、肛門ポリープを脱出させ、肛門ポリープの少し内側から見張り疣の少し外側までの裂肛組織を結紮します。

裂肛組織の壊死

銃後の痛みを和らげるために、痛み止め(内服・軟膏など)を使用します。
術後数週間の痛みは入浴(半身浴・座浴)で和らげることができます。
術後10日間前後で裂肛組織は壊死融解・壊死脱落します。

創傷の治癒

良好な創傷治癒には、水分とバランスのいい食物繊維の摂取による、お尻にやさしいお通じが大切です。便秘は腫れによる痛みや排便時の痛みの原因になります。また、下痢も排便時の痛みの原因になります。緩下剤(便をやわらかくするお薬)や整腸剤(腸内環境を整えるお薬)を使用することもあります。
術後1~2か月で創傷は治癒します。
術後の障害が少ないこと、術後の瘢痕が柔らかいことが特長です。
